「なあ、咲良」

「え?」




 キッチンに戻ろうとする咲良の腕を引っ張る。



 引き寄せた体が温かくて、柔らかくて、とても安心する。
 びっくりするその瞳も、何かを言おうとする唇も、赤らんでいく頬も、俺が愛している咲良だ。




「亮っ」

「好きだ、咲良」




 優しく唇に触れると、咲良はゆっくり目を閉じた。



 螺旋のような人生でも、その手が離れそうになっても。
 見失わないように、迷わないように、この気持ちを精一杯ぶつけたい。



 好きだ、愛している。
 その一言で幸せになれるなら。こんなに嬉しいことはない。




 一緒に見に行こう。
 螺旋の先にある幸せってやつを――――。




 END