「遅いよ……」

「ごめん」

「遅すぎるよ!」

「わかってる」

「わたし、ずっと好きで。好きだから、苦しくて。本当に、もう……駄目だって諦めて。でも、諦めたくなくて」




 言葉がぐちゃぐちゃだ。
 肩が揺れて、泣いているのがわかる。そんな咲良を俺は強く抱きしめることしか出来ない。



 黙っていると嗚咽がもれ、それを隠すように花火が花を咲かせる。
 明滅する光が優しく思えるのは、胸につかえていた想いをやっと出せたからかもしれない。




「俺と付き合ってくれるか?」

「……うん、付き合う」




 こんなにも悲しませたことが悔しい。
 誰よりも愛していたはずなのに言えなかったことが苦しい。



 やっと伝えられた言葉なのに、とても悲しい。
 でも嬉しくて、今度は俺の涙が止まらなくなった。