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 オイル時計で思い出すのは、素直だった幼い俺たちのこと。




『咲良のこと、好きだよ』

『ほんと?』

『好きだから一緒にいる』

『じゃあ……約束してくれる?』




 咲良が近くに引っ越してきた時にした大切な約束。




『結婚して』




 大人びた約束だ。
 その意味なんて知りもしない子供だった。
 必ず守るという絶対的な効力はない。




『……約束』




 それでも、咲良はオイル時計を大事にしていた。
 その約束が果たされることを願って――――。