「そうだ。一ノ瀬咲良の願いは今まさに叶えられた」




 彼女の身体が青白く発光し始める。本当に別れがやってくる。




「おい、いきなりかよ」




 別れ。
 ふいにやってきた、その時。



 俺はどんな顔をしていたのか。
 寂しいわけでも、嬉しいわけでもない。




「彼女の代償は今、貰い受けた」

「代償? おい! 待てよ! 咲良の代償ってなんだよ!?」

「悪いな。本人以外の人間に説明は出来ぬ。それに時間がないのでな」

「この、悪魔!」




 思わず立って叫んでいた。我ながら子供っぽい。




「ふっ。すぐに天使と言いたくなるであろうよ。さらばだ、雨宮亮」

「二度と出てくるな!」




 あっさりと姫巫女は消えてしまう。
 俺は静かな空間に取り残されて、立ち尽くしていた。