***


 時が止まった。



 俺はその瞬間を待っていたらしい。
 驚きもせず、慌てもしない。



 目の前で固まった状態の咲良から目をそらし、立ち上がる。




「久しぶりだな、姫巫女」

「お主からの挑戦状を受け取った」




 教壇の上に座る女の子、姫巫女を見つけた。



 彼女は何も変わらない。夜桜が描かれた青い袴の巫女服に、青い髪に、冷めた瞳。幼い顔立ちもそのままだ。



 不老不死なのか、生きる時間が違うのか、とにかく姫巫女は俺の知る世界とは別の何者からしい。



 恐ろしくて詳しいことは聞く気にはなれないけれど。




「彼女が大切なのだろう。なぜ、このような危険を冒す?」

「大切だからだ」

「わからぬな。詳しく話してみよ」




 よく見れば、花火も1つの筋を引いている途中で止まっている。大輪の花が咲く直前だ。