「オイル時計見せてくれた時。あの時に言っていた螺旋、覚えているか?」
「うん、はっきりと」
俺は胸ポケットに手を入れた。
しまっておいたそれを取り出そうと悪戦苦闘していると、咲良が急に立ち上がる。
「ちょっと! 銃殺!?」
「違うわ!!」
少しはシリアスな感じで進行させてくれ。言いたいことが抜け落ちそうだ。
こっちが驚いた。
でも、お陰で緊張がとけた。
咲良が座り直すのを確認してから、また話し始める。
「お前は俺に教えてくれた。あの日の螺旋に助けられた。だから、約束を守りたい」
咲良はぽかんとした表情で首を傾げる。
静かな教室に花火の音だけが響き、急かすようだ。
夜空を彩る花火は、咲良の顔も明るく照らす。
綺麗な瞳から目が離せない。
「俺と契約してくれないか?」
死なせたくない。
俺は恐怖で潰されそうになる気持ちを必死に抑え、胸ポケットから手を抜いた。
咲良の前に、それを広げる。
一瞬にして、その表情が変わった。