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「気をつけろよ」

「ちょっと速いって」

「シッ! 誰かいるかもしれないから、静かに。そして速く」

「亮ちゃん、注文多い」




 明かりの全くない階段はかなり危険だ。適当なスリッパを履いてきたものの、暖房のない室内は寒い。



 そこを歩かせるなんて、ちょっとどうかしていると自分でも思っている。反省はしてないけど。




「階段ってこんなに狭かったかな」




 静かにしろと言っているのに、喋ることをやめない。咲良の声でバレたらどうするんだ。



 久しぶりの高校。たまたま来賓出入口が開いていてラッキーだと思い込み、こっそり忍び込んだ。



 3階まで来ると窓からの明かりが廊下を照らしていた。
 月明かりだ。残念ながら満月じゃないけど、綺麗なことに変わりはない。