「高校でも大学でも、背伸びして入ったら後が大変だろ?」

「勉強についていくってところ?」

「そう。就職も同じだ。背伸びしてることくらい、企業のおっさん達にはわかるんだよ」

「えー!」




 咲良はまた項垂れる。
 俺はそれを笑い飛ばすと、笑われたことがさすがにショックな様子。




「亮ちゃんは、どこに就職したの?」

「今は秘密」

「ケチ」




 すっかり暗くなり、街灯が壊れたままの通りを歩く。商店街からは随分離れ、懐かしい坂道へと足を踏み入れる。




「あれ?」




 咲良も気づいたようだ。ここが俺の実家に近いこと。よく、一緒に登校した通学路であること。




「行きたいところって、もしかして……」

「気づいたか?」

「嬉しい! というか、懐かしい! あそこ、よく一緒にジュース買った自販機! いつもイルミネーション綺麗だったお家、まだあるのかな?」

「いきなりはしゃぐな」

「落ち着いてらんない!」