「そういえば咲良、就職は?」




 世間話のつもりで話題をふれば、俯いて暗い顔をする。




「なるほど」




 全て理解した俺が呟けば、咲良はムッとして顔を上げる。




「頑張ってるんだよ? ただね、一ノ瀬咲良の魅力わかってくれる企業が……」

「ランク上げすぎなんだろ」




 咲良は言葉を失い、力なく俺についてくる。




「亮ちゃんは?」

「とっくに決まってるよ」

「余裕だね。ムカつくくらいに」




 ぶーっと膨れっ面をする咲良。意外に可愛い。




「祐介の方は?」

「……決まってるよ」




 まさか祐介にも置いていかれるとは。ちょっと可哀想になってきた。




「ランク上げすぎ……か」




 やっぱり咲良は気にしている。