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「祐介のこと、知ってたのか?」




 カフェから離れ、馴染みある商店街を抜ける。
 ふと思い出して咲良に問いかければ、ニヤニヤしている。知っていて黙っていたみたいだ。



 祐介は今、多分あのカフェで彼女を待っているはず。修羅場にならなければいいなと願いつつ、俺は楽しそうな咲良の横顔を窺う。




「祐介くんに口止めされてたんだもん。仕方ないでしょ」

「俺だけ知らなかったのか」




 祐介が電話していた相手は理乃ちゃんだった。
 クリスマスに彼女を誘わないのはどうなんだと、怒られたと言う。



 それ以前に理乃と呼び捨てる、繋がりのあまりない2人が電話で話していると、俺は大混乱だった。



 まさか恋人の関係になっていたなんて思いもよらない。