***
その日の夕方。
クレープが食べたいと言う咲良のわがままに、俺たち2人は付き合うことになる。
甘い物は別腹だから付き合ってやる。いや、むしろ付き合わせて欲しい。
そういえば、俺は初めて行くかもしれない。
咲良が見つけた、あのカフェ。何だかいろいろあって行く機会がなかった。
女の子が好むような店構えだし、1人ではもちろん恥ずかしい。
念願のクレープだ。少し興奮する。
店内は結構混雑していた。クリスマスのせいかカップルもいてカフェの中は賑わっている。
母さんが言っていたクリスマスイベントのせいもあるかもしれない。
花火大会か。寒いのに花火か。
「なあ」
慣れているみたいで、トッピングを細かく注文する2人の後ろで俺は声をかける。