咲良は黒いコートを着ていて、夏に会った時よりも大人っぽく見える。
 でも喋り方や内容は、本当に子供。




「じゃあ、行こうか」

「待て。俺は焼きそばの話しか聞いてない。祐介はどうした?」

「髪の毛のセットに時間かかって遅刻。先に亮ちゃんの家行っちゃお!」




 ますます祐介の髪型が気になる。
 そんなに時間がかかるとは、物凄く伸ばしたのか。




「知らせなくていいのかよ」

「大丈夫、大丈夫! 祐介くんなら、ちゃんとたどり着けるから」




 駅で俺たちを捜す祐介の姿が目に見えるようだ。
 そうならなきゃいいんだけどな。