「ああ、母さん。うん、わかってるよ。ちゃんと決めたから、大丈夫。それとさ、12月に……何日かって? まだ、そこまでは」




 いきなり咲良のスマホを奪い、母さんは言いたいことを纏めて言う。
 さすがに混乱する。もっとゆっくり喋ってくれ。本当に疲れる。



 やっと相手が咲良に戻る。こっちはこっちで興奮している。とにかく落ち着いてくれ。




「咲良。そろそろ切るよ。え? もういいだろ。帰ったらちゃんと相手するからさ。あ、あとさ――」




 他愛もない話。
 こうやって今まで想いを繋いでいたんだ。



 幼なじみっていう関係に隠れていただけで、本当は咲良の心を捕まえようとしていたのかもしれない。



 不思議と嬉しくなって、俺はどうでもいいことまで話し出す。