「待って!」




 理乃ちゃんが祐介を声で制止し、必死に男の手を止める。



 どう見てもいい関係ではない。



 男はまるで理乃ちゃんを蔑むように見下ろしている。理乃ちゃんは掴んだ手を震わせて抵抗している。



 あれは多分、恐怖だ。理乃ちゃんの強気な言葉も、声が出せたのが不思議なくらいに怖がっている。




「お願い、やめて」




 男はそんな理乃ちゃんを突き飛ばす。それを支えた祐介は怯むことなく、また立ち上がる。



 そうしている間にも俺は混乱していた。



 さっきまで話していた咲良の友達の理乃ちゃん。そして祐介は俺と咲良の共通の友達。



 知り合いがこんな所で揃うなんて、予想出来ない展開だ。