それはすぐに見つかった。
言い争いをしている相手は体格のいい男。背が高い。言葉から察するに元彼みたいだ。多分、指輪の相手。
一番驚いたのは助けに入ったと思われる人物の姿。俺はそれを見て咄嗟に建物の陰に隠れる。
なぜなら、祐介だったからだ。
キャップを被り、ラフな恰好をして、野球が好きそうな雰囲気がそのまま。何も変わっていない。
理乃ちゃんを隠すように立つ祐介。殴られたのか、唇に血が滲んでいる。
「ああ、なるほど。つまり彼女は妊娠したと嘘をついてお前を試した。結果、逃げ出した。でも、それが嘘だってわかって仕返ししようと思ったわけか」
男が押し黙った。図星だったみたいで、すぐに殴りかかろうとする。単純すぎる。



