「もしかして、心配してくれてるのか?」




 俺が助け舟を出してやると、更に顔を真っ赤にした理乃ちゃんが怒り出す。




「あたしが心配してるのは咲良。雨宮はどうなっても構わないんだよ!」




 ひどい言われようだ。
 素直になれと言うわりには、本人は素直になれない性格をしている。
 まあ、理乃ちゃんはそのくらいの方が彼女らしくていい。




「ありがとう、理乃ちゃん」

「うるさい! とっとと、幼なじみをやめちまいなよ!」




 俺が咲良を好きかなんて聞いていない。
 だけど、理乃ちゃんには全てわかっているみたいだ。




「あんたがわかってるなら、それでいい」

「友達思いなんだな」

「あたしに友達はいなかったから」




 理乃ちゃんは水を一口飲んでから、目を伏せるようなしぐさをする。