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 大学生活は余裕だったわけじゃない。
 勉強はわからないことだらけで、涼しい顔をしている奴らを恨んだこともある。



 地方出身というだけで、ここまで学力に差が出るのかと落ち込む。そんな日々だった。
 でも、諦めたくはなかったんだ。



 自分で選んだ道だ。
 必ず卒業してみせると、本気で思ったのは咲良が会いに来てくれたからだ。



 会いに来てくれた咲良に力を、元気をもらった。
 だから諦めるわけにはいかなかった。
 今、俺は変わらなきゃならない。これは俺の決意だ。




「咲良、頼みがある」




 俺のベッドに腰かける寝起きの咲良に言った。
 寝起きでも意識ははっきりしているみたいで、どことなく不安そうな表情を浮かべる。




「大学、余裕なくてさ。進学するのがやっとな感じなんだ」