『このらせん、なんか切ないと思わない?』

『どこが?』

『ピンクの玉がね、右と左に分かれて、手が届きそうなのに届かない』

『う……ん?』

『スタート地点では一緒で、次に会えるのはゴール』

『そうだな』

『それまでは、ずっとすれ違ってるの。なんか、悲しくない?』




 母親と一緒にハマってる恋愛ドラマの話でもしてるのかな、なんて思っていた。



 実際咲良の話が難しくて、あの頃の俺にはよくわからなかったんだ。




『そう言われてもなぁ』

『わたし、こんなすれ違いな恋愛は嫌!』

『嫌とか言われても』




 困る俺をよそに、咲良は俺に迫ってくる。