「俺が原因とは言い切れないだろ。大学に好きな奴でもいるんじゃないのか?」

『毎日だぞ。会うたびにお前の話をしてるんだ。それでもか?』




 頼むから、それ以上言わないでくれ。
 お願いだから、俺をほっといてくれ。
 1人にさせてくれ。




『だからさ、亮。咲良ちゃんの想いに応えて――』

「無理だ」




 即答したことに驚いて、祐介は押し黙る。




『亮?』

「俺のことはほっといてくれ」




 祐介は何度目かのため息をつく。
 しばらくの沈黙の後、やっと喋り始めた。




『亮。なんでこの話になるとムキになるんだよ』

「なってない」

『なってるよ。やっぱり咲良ちゃんのこと――』

「ない!」

『亮がそう言うなら、今後はなにも言わない。でも、苦しくなるようだったら素直になれよ。オレは2人が付き合ったら、すごく嬉しいんだよ』