*** 俺は多分、混乱していた。 突然、咲良が現れて懐かしくて、嬉しかった。 反面、困惑もあったんだ。 『咲良。絶対にここ、動くなよ』 だから、落ち着く必要があると思ってアパートを出ることにした。小さく、わかったと返事をした咲良は少し悲しそうな目をしていた。 逃げるようなことをして悪いと思っても、俺の足は外に向く。 整理するために。 違う。今、咲良の言葉を聞いたら、どうしてかと追求されたら。全て言ってしまいたくなる。 俺は、弱い。とてつもなく弱いから――――。