めちゃくちゃ怒られると思って構えていた俺は、意外にも寂しそうに呟く咲良に戸惑う。
 予想していたのと違う。




「でも、元気そうでよかった」




 話題がそれる。
 俺としてはよかったけれど、何だか咲良の様子がいつもと違う。拍子抜けだ。




「亮ちゃんがしっかり大学に行ってるとか、信じられない」

「俺だってそう思う」




 咲良は机に広げたままだった教科書を眺めている。
 そういえば、テスト勉強の途中だった。わからない部分、聞き損ねたままだ。




「なあ、咲良」

「なに?」

「お前、今日の講義サボっただろ」

「え。今日は――――」

「スマホで、金曜日が1番大変だって言ってたのは誰だよ」

「えへへ、バレちゃった」