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金曜日に講義はない。だから来てしまったと咲良は説明する。
それが本当のことか、嘘なのか、わからない俺じゃない。
しばらく離れていたとはいえ、どのくらい付き合いがあると思っているんだ。
でも、すぐに聞ける雰囲気じゃなかった。
『ねえ、お腹すいちゃった』
そう言った咲良のためにファミレスで昼飯を食べ、なぜか観光に付き合わされて、夕飯をコンビニで適当に買って帰ってきたのは午後7時。
狭いアパートは片付けもされていなくて、飽きれつつも咲良が掃除を手伝ってくれた。そして見つかってしまった。
「煙草……」
「あ…………」
弁明、出来るわけがない。
本棚に詰まっている煙草の量。灰皿はあるし、臭いだって気づいていたと思う。
「煙草?」
「咲良、あの……」
「亮ちゃん、何だか変わったよね」