恥ずかしい。どうしたものか。
やはり、ここは一度スルーするに限る。あまりにも恥ずかしすぎて大学生活に支障をきたす。
「あ! 亮ちゃん、いた!!」
気づかれた。ヤバイ。
俺は方向転換して、アパートに帰ることにした。もう、大学から離れよう。
「あ。待て! 雨宮亮!!」
フルネームで呼ぶな。
仕方なく止まってやると、懐かしい笑顔がそこにある。
髪型が変わって、化粧の仕方も違う。
雰囲気がすっかり大人の女性になったけど、彼女は俺の知ってる一ノ瀬咲良だ。
「違う意味で有名人になったぞ。どうしてくれるんだ、俺の大学生活」
「いいじゃない。友達増えるよ」
「妙な友達はいらない」
「そうとは限らないじゃない」
咲良は高校の時と同じように話してくる。
1年以上も会わなかったなんて、嘘みたいだ。



