「なんだよ、それ」

「だから、いずれ結婚するんでしょ?」

「ばばばばばかなこと言ってないで、さっさと会社行けよ!」

「おおう、思春期。あんた達も急ぎなさいよ」




 咲良がそれを聞いて、なぜか恥ずかしそうに俺の背中を押す。
 お前が恥ずかしくなってどうするんだ。




「行くよ」

「押すなよ」

「押さなきゃ動かないでしょ」

「お前さ、毎朝ウチで飯食うなよ」

「いいじゃん! 減るもんじゃないし」

「いや、減ってるから!」




 漫才をやらされている気分。疲れる。




「ほら、もう行かないと遅刻だよ」