咲良から野球のボールみたいなまるいおにぎりを受け取る。



 どっしりしている。力強く握りすぎて固いのが「咲良特製おにぎり」の特徴。通称、爆弾。




「いいわね、亮。いつも咲良ちゃんのおにぎり食べられて。いいお嫁さんになるわよー。逃さないようにしなさいね」




 母さんがニヤニヤしながら俺を見る。



 すでにバッチリ化粧をした姿は、普段の干物状態からは想像出来ないほどの変貌。



 母さんが結婚とか言うとしっくりこない。
 物心ついた頃には離婚して父親はいなかったし、会うこともない。



 というか、朝からなんでそういう話になってるんだ。