そんなふうに反抗していたのだとしたら、母さんに相当な苦労をかけていたんだろうな。
何せ保育園の頃だ。3歳くらいか。
通っていたのは覚えているけど、細かいことまではわからない。雨の日ってのは、何か引っかかるけど。
「わたしその頃さ、亮くんって呼んでたの。亮ちゃんって呼ぶのはおばさんだけ」
「そういえば、母さんにはそう呼ばれてたな」
「わたしさ。おばさんの真似したら、滑り台から降りてくれるかなって思って。亮ちゃんって呼んだんだ。そしたら、本当に降りてきてくれて。なんて言ったと思う?」
「さあ」
さすがにため息。仕方がないだろ、全く覚えていないんだ。
「咲良にそう呼ばれると安心するって言ってくれたの。嬉しかったなぁ」



