「……咲良。祐介は?」

「部長だからね。野球部の挨拶が終わったら来るんじゃないの?」

「なくしたバッグを探しに来るの間違いだろ」




 使い込んだそのバッグが祐介のものだと言い当てると、舌をぺろっと出し、いたずらっ子のような笑みを浮かべる。




「荷物を確保しておけば、すれ違うことはないでしょ?」

「……それ、持ってきてよかったのかよ」

「いいんじゃないの?」




 相変わらずだ。困ってる祐介が目に浮かぶ。
 あいつはいつも咲良に振り回されっぱなしだ。




「ねえ」

「なんだよ、咲良」

「待ってる間、リバーシしない?」

「は!? いきなりかよ!!」




 やるとは言ってないのに、どこから持ってきたのか携帯用リバーシを取り出す。その盤面、久しぶりに見た。