「亮!」




 祐介は追いかけろと言いたいんだ。
 わかっている。
 それが一番いい方法だってわかっている。



 でも、追いかけたって何を伝えたらいいのかわからない。



 本当に俺、最低だ。
 だけど、これでよかったんだ。もう想いを伝えることはないし、あいつもラブレターなんて書かなくなる。告白しようなんて思わなくなる。



 これが俺の望んだ未来だ。




「亮。お前……!」




 祐介に睨まれた。あいつもすぐにいなくなる。
 多分、咲良を追いかけていったんだろう。




「俺はもう……」




 お前たちと違う。



 そうだ、これが螺旋だ。
 俺は願いを叶えた瞬間に、あいつらとは違う時間を生きている。俺だけが、別世界で生きている。



 たった1人で……。