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ここは俺の家。それは間違いない。
今は朝で、出勤前の母さんの姿もキッチンにある。確かなことだ。
「おばさん、この卵焼きおいしい! もしかしてだし巻き卵?」
「そうよ。咲良ちゃん今度作ってみる?」
「教えてくれるの?」
「いいわよ」
「やったー!」
俺の大好物のだし巻き卵にかぶりついてるのは咲良。左手には俺のお茶碗。味噌汁まですすっている。
待てよ。使ってるのは俺の箸じゃないか。
お前は雨宮亮ではないだろう。一ノ瀬咲良だ。
「俺の飯は?」
極力、穏やかに聞いてみたものの無視された。
女子トークの真っ最中に話しかけた俺が悪いのか。
いや、勝手に人の飯を食う咲良はなんだよ。お前、すでに食ってきたんだろ。



