「む?」




 何か口に違和感。これはアルミホイルだ。
 アルミホイルって噛むととにかく気持ち悪い。慌てて引っ張り出す。



 おにぎりに包まれたアルミホイル? まさか、あの日の……。




「マジか」




 嫌な予感。だけどドキドキしてる。
 吐きそうなくらい、胸が痛い。



 そっと開いてみたら、

『亮ちゃん、結婚しよ』

 のマジックの文字。




 騒がしい教室が、急に静かになったように感じた。




「駄目だ」




 俺はとっさにそれを隠していた。
 見なかったことにしておにぎりを食べ切る。




 ――――一ノ瀬咲良に想いを告げてはならない。これが条件だ。




 これはなかったことにしなければならない。
 気づかなかった。ゴミだと思ったと、咲良に言えばいい。