なぜ守れなかったのかと、あの日に言われたことを思い出す。



 無茶苦茶なことで怒られたが、どれだけ咲良を頼りにしていたかわかった。本当はいい奴なんだ。




「ちょっと、あたしの顔見てニヤニヤしないでくれる?」

「……あ、ごめん」

「キモイ」




 俺の心が耐えられないから、早く帰ってきて欲しい。
 冷めた目線を回避するため、俺は咲良特製おにぎりをカバンから出す。相変わらず爆弾だ。



 時間がなかったと言っていたから中身はない。ただの塩おにぎり。
 それを2口ほど飲み込んだあたりで、2人が帰ってきた。