咲良が騒がしく入ってきたと思ったら、親父さんが立ち上がる。
 やっぱり怒っていらっしゃる。



 咲良の後ろからやってきたお袋さんは、親父さんについていく。
 キッチンには俺と咲良の2人だけになった。




「亮ちゃん」

「なんだよ」




 俺は今、それどころじゃない。謝るべきか悩んでいるんだ。




「なんで起きてるの? なんでウチにいるの!」

「悪いか」

「なんで? なんで? あの寝起きが悪くて、どーしようもない亮ちゃんが起きてるなんて」

「酷いな」




 咲良は本当に事故に遭わないのかと、不安で来てしまったんだ。
 俺はまだ夢を見ているみたいで、咲良が突然いなくなってしまいそうで怖い。