「亮くん、すまないな」

「え?」




 俺が顔を上げると、真っ直ぐに見つめ返されて硬直してしまう。




「咲良がいつも、お宅でご迷惑をかけているみたいだ」

「いや、そんなこと!」




 突然、謝られて慌てる。
 多分、親父さんなりの穏やかな表情をしているらしい。よくわからないが。




「明るく元気なのはいいが、周りの迷惑を考えないところがあってな。少し困っている。亮くんも、遠慮なく言ってくれて構わない」

「いえ、いつも咲良には助けてもらって。頼りにしてますから。それに……」




 無口だとは言うが不思議だ。思っていることをみんな喋りたくなる。
 さっきまでの緊張が嘘みたいだ。