「亮くん、か」




 まさかの親父さんもいた!




「おは、よう……ございます」




 いつも朝は早くて会えないと咲良は言っていたのに話が違う。



 俺は父親という存在が苦手だ。そう、母子家庭であるせいか付き合い方がわからない。話し方がわからない。大人の男がわからない。とにかくピンチだ!




「相手方のトラブルで、今日の業務開始が遅くなったんでな」




 のんびりとアイスコーヒーを飲みながら新聞を読み、聞いてもいない俺の疑問に答えてくれる。
 めちゃくちゃ空気の読めるすごい人だ。




「好きに座るといい」

「はい!」




 緊張する。
 咲良、早く来てくれ。予定にないことばかりで、そろそろ俺は倒れるかもしれない。
 とにかく落ち着くんだ。