咲良は腰に手をあて、母さんのように睨んでくる。




「何もしてないから」

「嘘!」

「本当だから」

「じゃあ証拠は?」

「何もしてない証拠を提示しろとかおかしいだろ!」

「またスカートめくりした?」

「いつの話だよ」

「そうだ! 祐介くんの話のこと?」

「……弁護士を呼んでくれ」




 頬をふくらませて、まだ睨んでくる咲良。
 それを笑って見る俺。



 こんなやり取りでさえ楽しい。そばにいることが嬉しい。



 まだ、大丈夫。
 願いを叶えて、代償に悩んで苦しむと思っていたけど、そんなことはなかった。



 今のままでいい。
 このままでいられたら、それだけで俺は幸せだ。