「ほら、さっさと支度する!」




 叫ぶ咲良は相変わらず黒髪を2つに分けて縛っている。
 前髪もピンで止めているから、デコが全開。



 デコピンしたくなる。
 こいつ、ずっとこの髪型だな。
 変えようとか思わないのか? 別にいいけど。



「早く目覚めなさい!」



 このまま2度寝しようかと思った瞬間の咲良の大声。どうやら寝ようとしていたことがバレたらしい。



 気持ち悪いくらいに眠い。
 ああ、動きたくねぇ。




「亮ちゃん?」




 睨まれて、咲良の腕がプルプル震え出したから、俺は危機を感じた。マズい。