6月29日

私たちは屋上に移動した。

「私、こんまんまじゃいやや、麗奈とも、ハルとも」私がそういえば、

「あたしもや、なあ、まずあたしの話を聞いてくれん?」そういうから私は頷いた。

「あたしな、ほんま汚い女やねん。ハルが事故にあって結月のことだけ忘れてるって知った時、ちょっとほっとしてん」

「あたしさ、昔からハルのこと好きでな。結月が現れたときほんまはすっごい憎かった。なんでとるんよって。でも、それから結月のこと知るうちに好きになって、二人とも幸せになってほしいって、諦めようって思った」

「そんでようやく時間をかけて諦めてたときやってん、今更こんなこと言うのもあれやけど。あたしにチャンスが舞い戻ってきたと思った。だってこんなん完全にあたしが有利な状況やん。結月はハルに自分のこと言えんし、ハルも忘れとる。そんならハルの中にあるあたしという存在を大きくできるんちゃうかなって。ほんまごめん」

「最悪な奴やろ?」

 そう、自嘲気味に笑う麗奈に私は首を振った。

「私こそ、ごめん。私、麗奈の気持ち知っててん。やけど、ハルの彼女は私って。ちょっと優越感に浸ってたんかも」

「そんで、麗奈のこと避けて。麗奈のことも大事やのに、自分のことしか考えてなくて」

「お互い様やん、あたしらさ。あたしがこんなこと言うのもあれやけどさ、ハルとのチャンスやと思ってたけどさ、結局自分がみじめになるだけやったわ」

「え?」

「やっぱり、たとえ忘れていても。あたしに入る隙なんてないんやなーって」

「このあいだ、ハルに伝えちゃったの、好きだって」

 何も言われなくても、昨日のあのときのことやってことは何となくわかった。

「でもさ、ダメやったんよなー」

「うそ」

「こんなんで嘘つかんで。伝えたとき、ハルなんて言ったと思う?」

「『_________だ』って、嫌んなっちゃうよなぁ。なあ、だから結月ハルを支えてやって」