6月22日

さっきのできごとを書いておこうと思う。


今日病院に来て、部屋に入ろうとしたとき空いている隙間から


「ハル、あのね、あたしな」


「・・・麗奈」


そういって見つめ合う二人が目に入った。


少し頬を赤らめる麗奈。


そして、近づく二人の距離。


私は見ていられなくて、思いっきり走り出した。

そのまま屋上へと向かった。


ギィと古びた屋上の扉を押し、そのままフェンスにもたれずるずると腰を下ろした。



力が抜けていくようだった。


あれから二人がどうなったとか想像もしたくなかった。


確かに麗奈はかわいいし、幼なじみだし、何よりきっと初恋の相手。


やから、おかしくない。


ハルが麗奈を好きになってもそれはなんらおかしいことやなくて、それが普通のことで。


ハルの日常に私はいなくて。



頭がぐちゃぐちゃになっていくようだった。


本音を言うなら、


麗奈も麗奈でわかってるんなら関わらないでほしかった。


私がハルの彼女だってわかってて、私にはとったように思えない。


でも、そんな風に考える自分も嫌で。


このままハルは麗奈と幸せになって、そのほうが楽なのかもしれない。


私を思い出して何か障害が起きるなら思いだないまま私はハルの友達というポジションで見守っていくしかないのかもしれない。



あの日から全部全部壊れちゃった。


そんなことを考えてると涙が止まらんくて。





そんでただただ泣いてるときやった。

「・・・結月」


ギィと扉が開いて颯太の声が聞こえたのは。



久しぶりにちゃんと顔を見た颯太は辛そうな顔をしていた。


私は急いで涙をぬぐい、平然を装った。


「何、颯太」


 そういえば、颯太は私のもとへゆっくりと歩いてきた。


そして、そのまま。


私は気が付けば颯太に抱きしめられていた。



「は?どしたんよ」


そういっても颯太は強く私を抱きしめるだけだった。


そして、


「我慢せんでいいから。頼むから、抱え込むな」


そういった。



もう無理だった。


私の涙は止まってはくれなかった。


辛い時だけ頼るなんて、甘えるなんて、サイテーやってわかってるのに、どうしても目の前の暖かさに縋りつきたくなった。



「もう、やだ。全部全部、もう、辛いことばっか。なんで、なんで私だけなん?なあ、ハルの為ってじゃあ私の気持ちはどうなんの?、ねぇ、教えてや、」



「悪い、もっと早く麗奈を止めとけばよかってん。ごめん」


 颯太のせいじゃないのに。



 たぶん一番近くにいたから余計そうおもうんやとおもう。