その後も競技は順調に進み、残すところリレーとなった。

「冬ちゃん頑張ってね!」
冬ちゃんは笑って手をふってくる。そして冬ちゃんが走り出した。
今私は生徒会の仕事、旗をもっている。私が持っているのは一位旗だ。応援は熱気を帯びる。私はバトンを追う。
黄組、司馬君が走っていた。今黄組が少し差をつけて走っていた。

ー依然として四組は拮抗状態。これで決着が決まる。

私は強く旗を握る。

「まてやああぁ!司馬ーーっ!」
鬼の形相で田村が走ってくる。司馬はその様子に驚いていた。

ー怖っ。

しかし、司馬君に、追いつくことなくアンカーにバトンが渡される。

黄組はバトンを受け取るとそのまま走って行く。田村も渡して倒れた。先生に、引きずられながらコース外に出て行く。

「お疲れ!司馬君!」
「ありがとう。…にしても、驚いたな。…田村が怖かった。」
「あはは。…そうだね。」
私も彼の意見に賛同した。すると少し遅れて白組と青組がアンカーに渡した。二人が僅差で走る。前方二組とは五メートルあった。けれどその差を物ともせずに走る。

「すごいね。柚木と白石。」
「そうだね。」
私達は彼らをみる。
「応援しないの?」
「え?」
私は驚く。
「騎馬戦のとき、応援してなかったよね。」
「えっと。邪魔しちゃいけないかなって…」
「邪魔じゃないよ。嬉しがるよ。それで、君はどっちを応援したい?」
「どっちって…。」
私はその質問の意図がわからなかった。そうこうしているうちに残り半分をきった。
「わた、しは…」

朔を応援すべきだろう。同じ組だし。しかし、私は柚木君も応援したい。


私は大きく息を吸った。

「頑張れーー!!朔ーっ!柚木君ーっ!」

二人は赤組と黄組をぬいた。そしてゴールした。

「どっちも応援するんだ。」
司馬君は少し驚いた表情をして私をみる。
「だって、どっちもすごいじゃん!!どっちかを応援って勿体無いよ!」
司馬君は笑った。私も笑っていた。







「うっ。まさか、こんなに痛むなんて…」
私は観戦してるときすごく動いていたらしく、足をさらに痛めて保健室にいた。今頃フォークダンスでもしてるのだろう。私は窓の外をみる。

「あ、いた。大丈夫!?足!」
「朔!どうしたの!?フォークダンスやってるよ!早く行かなきゃ!」
「それよりも幼なじみが大切。」
朔は椅子に腰掛ける。
「すぐに閉会式が始まるよ。」
「大丈夫。走る。光はどうするの?」
朔は湿布を切ってくれる。
「私はそのまま帰る。いても邪魔なだけだし。」
「そう?わかった。」
朔は私の足に湿布を貼ってくれる。
「まあわ粗方きいたけど今度から器用つけるように。」
「はーい…。」
冬ちゃんにきいた話だがその後彼は生徒会の管理能力がないことに腹を立てて、かなり絞ったらしい。
「にしても、朔がいないと生徒会は大変なことになってそうだね。特に借り物なんてさ。《変な人》と《不思議ちゃん》だよ!?失礼だよね!?」
朔はとても苦笑いしていた。あのライオンの痛さを目の当たりにして絶句したのだろう。
「えっとね。ライオンの下のファスナーが壊れたらしく、廃棄しようってなってたんだ。けど、生徒会長が『面白いから駄目!そうだ!野獣にしよう!野獣王子!』とかいったらしい。」
朔も聞かされてなかったらしい。私は足を少し動かす。ひんやりしてて気持ちいい。
「ありがとう朔!」
「いえいえ。あっ…と。」
朔は救急箱を片付ける。そしてそのまま立ち去らずこっちを見る。
「?どうしたの?」
「踊らない?手だけでもリズムに合わせて」
彼はそういって私に手を差し伸べる。私はその手を見て笑う。
「…うん!」
私は聞こえる音楽に合わせて歌う。朔も歌う。朔は一曲終わった後時計を見る。
「…あ。行かないと。じゃあね。」
「…うん!また火曜日!」
私は朔に手を振る。しばらく私は窓を見ていた。

ー皆、踊ったのかな。

私はモヤモヤする気持ちを抑えて教室に行って鞄を持って帰ろうとした。


「あれ?」
私は鞄を見つめる。少し重いように感じた。

ー力が入らないからかな。

私はそのまま鞄を持って帰ることにした。