数時間が過ぎ
ようやく咳は治まり
呼吸と脈が安定した。


だいぶ体力を使ったんだろう。
顔色は悪く
まだグッタリとしていた。



今は安定剤で眠っているが
またいつ発作が起きるかわからないから、油断は出来ない。



「速水先生、少し寝てください。倒れちゃいます」


「大丈夫だから…」



俺はずっと彼女から離れず
夜勤看護師が心配そうに
体を気にしてくれたが
寝る気分ではなかった。





咲桜ちゃんをここに連れて来てからの俺は、半ば冷静さを失っていた。



1番近くにいたはずなのに
咲桜ちゃんを悪化させた。


医者なんだから
しっかりしなきゃいけないのに。



「ごめん…咲桜ちゃん」



眠る彼女を見つめながら謝った。



だけど
そんな口だけ…
意味がない。


俺は…
咲桜ちゃんを守りたい。


それが
医者としてなのか
男としてなのかは
正直わからない。


けれど
俺が出来る事すべてで
お前を…助けたい。



「守るよ…絶対」



俺の中で
1つの答えが見つかった。

それが正解なのかはわからないけど、側にいられる唯一の方法はこれしかなかった…