「朝ご飯は食べたのか?」
「…まだです。食欲なくて…」
「食べないとだろ。薬も飲まないといけないし」
「…はい」
そんな話をしていると
計測中の体温計が小さく鳴った。
熱は…37.5℃
「…微熱だな。何か作ってくるから、少し眠ってろ」
咲桜ちゃんが小さく頷いたのを確認し部屋を出た。
キッチンで粥を作ったり
梨を切ったりし
数十分して部屋に戻るが
咲桜ちゃんはすでに眠っていた。
起こすのは可哀想だよな…。
テーブルにお盆を置いて
そのまま部屋を後にした。
夜勤明けだし
俺も少し眠るか。
…いや。
もし咲桜ちゃんが発作を起こしたら
すぐ気付かないとマズイ。
それほど眠い訳でもないから
仕事でもするか。
コーヒーを作り
リビングのソファに腰掛け
ノートパソコンを開く。
静かなリビングに
時計とキーボードの音だけが響く。
そんな中
ふと考える。
"独り"って
こんな感じだったろうか…

