「余計な事しないで」


「え…」



白石さんの口から出た言葉に
あたしは衝撃を受けた。



「どんな顔して会ったらいいか、わかんないから手紙を書いたのに…なんで追い掛けてくるの…」




あたしは
余計な事したんだ。


白石さんの気持ちを考えないで
無理矢理呼び止めた。


あたし…最低だ




「このまま何も言わずに"ばいばい"してッ」



そう言って
白石さんはそのまま
また歩き出した。






その後ろ姿を見つめながら
彼女に対して
申し訳ない気持ちで
いっぱいになった。




あたしは
会って何を話すつもりだった?


『先生が好きです。幸せになります』
そう言うつもりだった?


あたしが逆の立場だったら
そんな事、聞きたくない。


そんなの…
ただの嫌味にしか聞こえない。


考えればわかる事だったのに
何も考えてなかった。


軽率なのは
あたしの方だったんだ…





今さら後悔しても遅いのに
激しい自己嫌悪に陥った。








だけど…






「…ありがとう」