――…速水side *。+†*



「どうした?…あぁ、わかった。あとで行く」



自室で電話に出ると
相手は病院からだった。


急用ではないが
あとで戻らないといけない様だ。




「はぁ…」



電話を切ってから
溜め息が漏れた。



あのタイミングで電話が鳴っていなければ、俺は彼女に何しようとした?


抱き締めて
キスまでしそうになって…



「俺は何やってんだ…」



だが…。


したいと思ったのは事実だ。


『一緒にいたい』と言った彼女を
愛しく思えたんだ…。






「はぁ…」



無理矢理…だったよな。


ストーカー事件から数日が過ぎて
だいぶ咲桜ちゃんの精神的な部分も落ち着いてきたとは言え…


大事な患者に
軽く手を出し掛けたんだ。

彼女を守る立場の人間なのに。




…確実に嫌われたな。


さっきは目も合わせてくれなかったし。


ストーカー事件で触れるのを拒否された以上に、それは堪える…。



"治療"
した訳じゃないからな…。



「はぁ~………」



何度目かの大きな溜め息を吐き
自室を出ていった。







少し頭を冷やすか。





これ以上
咲桜ちゃんを怖がらせない様に。
それに
俺も暴走しない為にも…な。





――…速水side END *。+†*