「僕の所に来ている事は、ご存知なかったんですか?」


「…えぇ。あの娘の行動は、よくわからないの…。私達、振り回されて困っていて…」



"振り回されている"
その言葉の意味が
俺は少し気になった。


だが今はその事には触れず…



「柚花さんの事で、1つお伺いしたい事があります」



俺は
真実を聞かないといけないんだ。



「柚花さんの旦那さんの事、それと…家庭内暴力についてなんですが」


「え…?」



本来は
いきなり核心に触れるのは良くないが、今日俺がここに来たのは、"この為"だから仕方がない。



「お話致します」



柚花の母親に
全てを話した。



結婚・複数ある背中の傷。

俺と離れてから
彼女に何があったのか…。

その全てが"事実"なのか。




「…そう」



話終えると
柚花の母は
怪訝な表情を浮かべた。


そして。




「家庭内暴力も何も、柚花は…結婚なんてしていません」


「え?」



あまりに突然の
否定の告白をした。


どういう事だ…。