My.doctor…?

「俺が留守の間、咲桜ちゃんの診察は代わりのヤツがするから。何かあったら、そいつに言えな?」


「…はい」


「安心して大丈夫だ。俺なんかより、腕は確かだから」



先生
そういう事じゃないんです。


それに
先生じゃなきゃ意味ないのに…



「くれぐれも気を付けろよ?」


「はい。発作が起きない様に、しっかり注意します」


「あぁ…。じゃあ…行ってくる」



そう言って先生は
少し大きめの鞄を持ち
あたしとすれ違うように部屋を出た。




これが"最後"


"もう逢えない"



そう思ったら無意識に…



「先生ッ!」



振り返り
思わず呼び止めてしまった。



「ん?」



呼び止めたくせに
用なんてない。


ただ1秒でも長く
アナタと一緒にいたかった…


それだけだから…



「……行ってらっしゃい」



そう言ってしまった。


『さよなら』って言えない自分が情けない。



「…行ってくる」



小さく呟いた先生。

その後ろ姿を
涙を堪えて見送った。