う…そ。

どうして…?

なぜキスなんて…



「…ッ」



見ていられなくなったあたしは
その場から逃げる様に自分の部屋へと急いだ。





部屋に入るなり
扉を背にそのまま泣き崩れた。




訳がわからなくて
頭の中はグチャグチャだった。




どちらからキスしたかなんて
見てもいないからわからない。



だけどこれは現実。

こういう場合
"2人はこのまま元に戻る"
そう思った方がいいのかもしれない。


なんだかんだ言っても先生。
『俺が守らなきゃ』って…
だから…?



そう思うと
涙ばかりが溢れて止まらない。


先生を想うと
なぜこんなに苦しいの?
悲しいの?


どうしてこんなに涙が出るの…?



脳裏に浮かぶのは
全部、先生との事ばかり…



医者の仕事であっても
発作が起きる度
いつもすぐ助けてくれた。
いつも側にいてくれた。

入院が出来ないあたしを
自分の家に連れてきてくれた。



ストーカー事件の時
何度も名前を呼んでくれて
何度も『死ぬな』って…
必死に
必死に…助けてくれた。


医者のくせに悪魔みたいで
言い方キツくて
たまに魔王オーラ出てるし
それなのに心配性で…




でもね?
そんな先生があたしは…



「好き…」