「結婚ってお前…。この前も言ったが、俺は」


「イヤよ!!」



突然の白石さんが発した
思わぬ大きさの怒声で
一瞬、ビクッとしてしまった。



「私はずっと我慢したのッ!頑張ったよ!でもダメなの!!」



白石さんは更に興奮しながら捲し立てる為、声のボリュームは上がりっぱなし。



「助けてくれるんでしょ!?だったらッッ」



白石さんは
もの凄い剣幕で先生に詰め寄っている。



「柚花、落ち着け」


「私を…独りにしないで…。お願い…」



白石さんの声は震えていた。

絞り出すように
必死に訴えている様に聞こえる。


泣きそうな…
ううん。
もう泣いてるかもしれないその声は、あたしの心を苦しくさせた。



先生が話してくれた過去に
白石さんに何があったのかはわからない。

あたしなんかが
知っちゃいけないんだと思う。


もともとは恋人同士だった2人。

だからその関係が修復し
結婚しても…

幸せなら
それでいいよ…。





「柚花、俺は…」



先生が何かを言い掛けるも
その先は何も聞こえなかった。


"何も言ってない"
と解釈した方が正しい。


どんな状態になっているのか
ふと、2人の様子を見て

あたしは絶句した。