「酷い言い方がイヤなら、しっかり治すんだな。そして俺に迷惑を掛けるな、怒らせるな」



悪魔…いや
魔王だな



「…すみません」



口答えなんて出来るはずがなく
小さく謝る。



「研修医って事は、3年前か…」


なぜか先生は
急に何か懐かしんでいるらしく
チョコレートを口に運びながら
遠くを眺めている。



「そういえば、妹は元気か?」


「えッ」



そしていきなり
痛い事を聞かれた。



「よく病院に付き添いで来てたよな?あの性格の悪い妹」



性格悪いって…
仮にもあたしの妹に
なんて事を言うんだ
この大人は。



「今は両親と外国にいますよ」


「…そうか」



一瞬先生の
『聞いちゃマズかった』って顔をしたのを見逃さなかった。


覚えてたんだね
あたしが両親と不仲だって事。



「たぶん元気ですよ。…もう会う事はないと思うけど」


「……。」



先生は黙り込んでしまった。
もしや
暗い雰囲気になりつつある…?



「あんまり気にしないでくださいね?」


「……。」



って…ムリか。

自分から話を振ってきたのに
黙られたらこっちが困ります。