「先生、愛してる」



先生が一つのビニール袋を持って来て机上に置いた。


「昼食のつもりだったんだけど、そんなもので良ければ食べなさい」


袋の中には、コンビニのおにぎりが二つと五百ミリリットルのお茶のペットボトルが一つ入っていた。男性の割に少食なのだなと関係のないことも思いつつ、私は言う。


「そんな、だめです頂けません」


人の昼食を奪ってまで腹ごしらえをしたいとは思わなかった。そもそも、昼食のことなど全く頭になかったのだ。しかし、先生は納得のいかない様子で告げる。


「話からすると、昨日の夜から何も食べていないんだろう。多少なりとも満たしておいた方がいいに決まってる」


そう言うと、一方的に扉を閉められてしまった。


「………」


きっと、食べておいた方がいいのだろう。
ここで無理に食べないでいても、余計に先生の気を悪くしそうだ。

私は袋の中の食べ物に手を伸ばす。包装を外し、一口かぶりついた。


先生の優しさが胸に染みる。こんな自分でも、変わらず世話を焼いてくれる人がいるのだと思うと、幸福感でまた泣いてしまいそうだった。


扉の奥から、やって来る生徒と先生の会話が微かに響く。少しの寂しさを抱え、しかし授業が始まればまた会えるのだと思いながら食べ物を口に運ぶ。


ぐしょぐしょに濡れていた制服は、少しずつ乾き始めてきていた。放課後まであと少し、これからどうやって過ごして行くべきかを頭の隅で考えていた。