目が覚めると、重すぎる体を無理やり手のひらで押し起こした。体の節々が痛む。慣れない場所で眠ると、やはり疲れは取れないようだ。


雨は未だに降り続けている。
公園のグラウンドはほとんど泥水の海と化していた。


立ち上がって、制服の乱れを直す。雨水の湿り気は当たり前のように取れておらず、重量感がある。特に体の異常がないことから、野宿の割には誰かに襲われるといったこともなく安全に過ごせていたようだった。


スカートのポケットからスマートフォンを取り出して時刻を確認すると、十一時五十三分と表記されていた。
今日も学校があるというのに、心はまるで沈んでいる。もともと、昨日家を飛び出し、雨が降っていた時点で真面目に登校するつもりはなかった。全身ずぶ濡れの薄汚れた状態で授業を受ければ、変な噂が囁かれかねないだろう。


しかし、こんなところに居座っていたところで何があるわけでもない。私は仕方なく雨の中へと身を投げ出した。昨日傘を持たずに家を飛び出したことが失敗だった。お陰で体は冷えきり、どこからどう見ても滑稽かつみすぼらしい。

既に体は雨に濡れていたため、諦めがちに歩きながら先生のいる学校に向かい始めた。道中、当たり前のように傘を持った人々が横を過ぎていく。その度に、雨ざらしの中走りもしない私を、まるでおかしな者を見るような目つきで振り返っていった。そういえば昨日も、同じような目にあったような。

驚くほど全員が全員同じ行動をとるので、思わずそんな彼らを鼻で笑ってしまう。そんな姿が余計に精神異常者に見えてしまうのだろうなと思いながらも、あがる口角を抑えることができなかった。


学校に着くと、出来るだけ誰かに見つからないよう注意しながら図書室へ向かった。
四限目の授業の最中だったため、休憩時間のように比較的生徒の往来はないが、もしもということもある。


中央棟の一階から四階へと長い階段を登っていく。制服からこぼれ落ちる雨水が、私の通った道筋を示すように経路を描いていた。

図書室の前までたどり着くと、静かに扉を開けた。


ゆったり中へと入ると、丁度目の前で本の整理を行っていた先生が、こちらを見るなりぎょっと目を見開いた。手元の本がするりと滑り落ち、角から乾いた音を立てて倒れる。


「秋奈!?」